米空母艦載機の岩国移駐完了で厚木基地 騒音が大幅減!
・
目 次
1 艦載機移駐後の厚木基地運用方針
..1.1 基本的に艦載機は立ち寄りせず
..1.2 厚木基地の運用方法
2 艦載機移駐後の厚木基地騒音状況
3 神奈川県の騒音
…計測データと検証してみました
…3.1 神奈川県の航空騒音計
….. …設置場所と前年比較
…3.2 騒音データの検証
4 町田市の騒音計測データ対前年比較
5 厚木基地 騒音 2018年のまとめ
・
・
2006年に日米が合意した在日米軍の兵力再編に伴い、米空母の艦載機(約60機)の岩国基地(山口県岩国市)への移駐が2018年3月30日に完了しています。
・
軍人・家族についても、2018年後半までには岩国基地移駐が完了する予定としています。
・
米空母艦載機の岩国基地移駐完了から3ヶ月経過した7月4日、防衛省、神奈川県および基地周辺9市による協議会が開催され、基地移駐完了後(4~5月)の厚木基地の運営方針や騒音発生状況について示されました。
・
「厚木飛行場から空母艦載機の移駐等に関する協議会」で示された「今後の厚木基地の運用方針」「騒音状況」をお伝えすると伴に、神奈川県および町田市が測定している騒音の測定値と比較検証しました。
- 9市の内訳
綾瀬、大和、座間、海老名、横浜、相模原、藤沢、茅ヶ崎、町田
・
艦載機移駐後の
厚木基地運用方針
・1
基本的に艦載機は
立ち寄りせず
艦載機の岩国基地移駐に伴い、空母(ロナルド・レーガン)が横須賀港に入出港する際の艦載機は、基本的に空母と岩国基地との間の往復となりますし、硫黄島(東京都)でのFCLP(陸上空母離着陸訓練)に参加する艦載機も厚木基地に立ち寄ることはありません。
・
・2
厚木基地の運用方法
空母艦載機の岩国基地移駐により、艦載機の整備・訓練は岩国基地を拠点として運用されますが、空母の母港は横須賀基地ですから、厚木基地および格納庫の付帯施設は引き続き米海軍のヘリコプター部隊が使用するほか、訓練・給油等により空母艦載機が飛来することもあると発表しています。
艦載機移駐後の
厚木基地騒音状況
防衛省南関東防衛局によると、4月~5月に綾瀬市と大和市で測定した騒音状況では100㏈(デシベル)以上の騒音は両市でいずれも28回の発生としています。・
・
(参考)
- 40db 深夜の住宅地
- 50db 一般の住宅地
- 60db 普通の会話
- 70db 電話のベル
- 80db 地下鉄車内
- 90db カラオケ室内
- 100db 鉄道ガード下
- 110db 車のクラクション
………..前方2m内 - 120db 飛行機のエンジン側
綾瀬市の騒音 大和市の騒音
4月~5月 4月~5月
前年164回 前年244回
・・今年028回 今年028回
・・比較△136回 比較△216回
・・率%△ 82.9率%△ 88.5
・
前年同期比(4~5月)と比較しますと、綾瀬市で82.9%減、大和市で88.5%減と大幅に騒音が減少していることが防衛省より発表された。
騒音の対象が100db以上となっていますので、戦闘機が離着陸時に発する騒音は確かに少なくなったんだと思いますね!
・
神奈川県の騒音
計測データと検証してみました
・1
神奈川県の航空騒音計
設置場所と前年比較
神奈川県が公表しています「航空機騒音に関するデータ」を利用しています。
2018年(4月~6月)数値と2017年(年間測定回数×1/4)騒音総測定回数を比較しました。
・
騒音測定回数とは?
70db以上かつ
…5秒以上継続した騒音の回数
・
①大和市
….上草柳3丁目
….滑走路北端~北約1km
………………….(単位:回数)
….今年 4,374
….前年 4,527
….比較△153(△3.4%)
②大和市
….西鶴間3丁目
….神奈川県企業庁大和水道営業所
….滑走路北端~北約2km
….今年 3,448
….前年 3,625
….比較△177(△4.9%)
・
③綾瀬市
….上土棚北2丁目
….滑走路南端~南約2km
….今年 2,858
….前年 3,207
….比較△349(△10.9%)
・
④綾瀬市
….綾西1丁目(綾西小学校)
….滑走路南端~西約3km
….今年 1,582
….前年 1,759
….比較△177(△10.1%)
・
⑤藤沢市
….下土棚(富士見台小学校)
….滑走路南端~南南東約3.9km
….今年806
….前年 1,089
….比較△283(△26.0%)
・
⑥藤沢市
….辻堂東海岸1丁目(辻堂小学校)
….滑走路南端~南約14km
….今年432
….前年696
….比較△264(△38.0%)
・
⑦海老名市
….柏ヶ谷(柏ヶ谷小学校)
….滑走路北端~西約3km
….今年 2,003
….前年 2,158
….比較△155(△7.2%)
・
⑧座間市
….ひばりが丘(ひばりが丘小学校)
….滑走路北端~北西約2.8km
….今年969
….前年 1,537
….比較△568(△37.0%)
・
⑨座間市
….相模が丘6丁目(相模中学校)
….滑走路北端~北北西約4.8km
….今年 1,402
….前年 1,413
….比較△011(△0.8%)
・
⑩相模原市
….中央区高根1丁目(共和小学校)
….滑走路北端~北北西約12km
….今年159
….前年370
….比較△211(△57.0%)
・
⑪相模原市
….南区相模大野5丁目(相模原市南区合庁)
….滑走路北端~北北西約7.1km
….今年396
….前年610
….比較△214(△35.6%)
・
・2
騒音データの検証
- 厚木飛行場のから10Km以上離れてい⑥⑩の測定地点では、70db以上の騒音が△38%、△57%と大幅に減少しています(1)
- 座間市ひばりが丘⑧△37%と⑨△0.8%では、⑧が⑨よりも厚木基地に近いにも関わらずこの様な結果となっていることは説明ができませんので⑧⑨の数値をフロックと位置づけます(2)
- 厚木飛行場から3Km以内の①②③④⑦の測定値では、基本的に空母艦載機の飛来がないにも係わらず対前年△3.4%~△10.9%の減少に止まっています(3)
- 厚木飛行場から3.9Km離れている⑤と7.1Km離れている⑪はそれぞれ対前年△26%△35.6%の数値は⑥⑩との距離感を考慮すると、ある程度妥当な数値かなとも思います(4)
・ - まとめ
上記(1)(3)(4)から考察できることは、騒音は100db以上生じる戦闘機(空母艦載機)の飛来は基本的になくなりましたが、戦闘機以外のヘリコプター部隊、その他の米軍機ほかが従来通り活発に厚木飛行場を利用していることから、厚木飛行場から3Km以内の測定ポイントの数値(70db以上の騒音)が△10%以内の減少に止まっていることが推察されます。
・
町田市の騒音計測データ
対前年比較
町田市が公表しています「月別航空機騒音測定結果(速報値)」を利用しています。
2018年(4月~6月)数値と2017年(年間測定回数×1/4)の騒音総測定回数を比較しました。
①本町田東小学校
・町田市本町田3350
・ 音量 db |
2018年 4~6月 (回) |
2017年 4~6月 (回) |
・ 比較 回% |
---|---|---|---|
70~79 | 396 | 440 | △44 |
80~89 | 37 | 126 | △92 |
90~99 | 5 | 25 | △20 |
100以上 | 0 | 4 | △4 |
・ 計 |
・ 438 |
・ 595 |
△26.4% △157 |
・
②小山小学校
・町田市小山町944
・ 音量 db |
2018年 4~6月 (回) |
2017年 4~6月 (回) |
・ 比較 回% |
---|---|---|---|
70~79 | 667 | 782 | △115 |
80~89 | 35 | 81 | △46 |
90~99 | 0 | 2 | △2 |
100以上 | 0 | 0 | 0 |
・ 計 |
・ 702 |
・ 865 |
△18.8% △163 |
・
③町田第五小学校
・町田市玉川学園4丁目14−7
・ 音量 db |
2018年 4~6月 (回) |
2017年 4~6月 (回) |
・ 比較 回% |
---|---|---|---|
70~79 | 602 | 564 | 38 |
80~89 | 70 | 116 | △46 |
90~99 | 5 | 31 | △26 |
100以上 | 2 | 4 | △2 |
・ 計 |
・ 679 |
・ 715 |
△5.0% △36 |
・
④忠生第三小学校
・町田市忠生3丁目14−1
・ 音量 db |
2018年 4~6月 (回) |
2017年 4~6月 (回) |
・ 比較 回% |
---|---|---|---|
70~79 | 163 | 335 | △172 |
80~89 | 22 | 156 | △134 |
90~99 | 8 | 25 | △17 |
100以上 | 0 | 0 | 0 |
・ 計 |
・ 193 |
・ 516 |
△62.6% △323 |
・
⑤南中学校
・町田市金森3丁目27番1号
・ 音量 db |
2018年 4~6月 (回) |
2017年 4~6月 (回) |
・ 比較 回% |
---|---|---|---|
70~79 | 198 | 308 | △110 |
80~89 | 41 | 184 | △143 |
90~99 | 4 | 6 | △2 |
100以上 | 0 | 0 | 0 |
・ 計 |
・ 243 |
・ 498 |
△51.2% △255 |
・
⑥①~⑤の平均
・ 音量 db |
2018年 4~6月 (回) |
2017年 4~6月 (回) |
・ 比較 回% |
---|---|---|---|
70~79 | 2,026 | 2,429 | △403 |
80~89 | 205 | 663 | △458 |
90~99 | 22 | 89 | △67 |
100以上 | 2 | 8 | △6 |
・ 計 |
・ 2,255 |
・ 3,189 |
△29.2% △934 |
神奈川県と同様な傾向ですね、FA-18(スーパーホーネット)戦闘攻撃機、EA-18G電子戦機などが、3月末をもって岩国基地移駐が完了したため、100db以上の騒音が生じる空母艦載機の飛来がなくなりましたので、以前の様に家族の会話が聞こえないなどの様なことはなくなりますた。
・
上記⑤表を見て頂ければわかりますが、80db以下の騒音はあまり減っていませんね。
・
ヘリコプターほか米軍機および海自のP1哨戒機が従来通り活発に厚木飛行場を利用していることが伺えますね。
・
厚木飛行場は基本的に22:00~6:00までの間は飛行禁止ですから、町田市計⑤で計算しますと、2,255回÷91日÷(24H-8H)=1.54回6:00~22:00までの間に、1時間当たり1.54回70db以上の騒音が生じていることになります。
・
対前年△0.65回減となります。
厚木基地 騒音
2018年のまとめ
2017年~2018年の5月頃まで、アメリカと北朝鮮の間では緊張が高まっていました。
・
北朝鮮がミサイル実験をする毎に空が異様に騒がしかった事が思い出されますし、空母ロナルドレーガンを旗艦とする空母打撃群が北朝鮮東岸沖に派遣される前も戦闘機が騒々しかったことが思い出されます。
・・
現在も、海自のP1哨戒機運用部隊が配備されていますので、P1哨戒機をよく見かけます。
・
米軍空母艦載機の岩国基地移駐に伴い、厚木飛基地周辺の航空機騒音が大幅に軽減することになります。
・
空母艦載機の移駐を受け入れた山口県・岩国飛行場周辺の自治体への敬意を忘れず「応分の負担」をしつつ、厚木基地の運用方法を市民がしっかりと見守ることが一番大切ですね。
以上
「米空母艦載機の岩国移駐完了で町田・相模原の騒音が大幅減!」でした
関連記事
米軍・空母艦載機訓練「馬毛島(まげしま)」買収の意義は?
相模補給廠にミサイル防衛を指揮する米軍司令部が新設!
「厚木基地騒音賠償金」あなたはどちらの原告を選びますか?
厚木基地騒音賠償金の原告に参加しますか?
米軍機の騒音(町田・相模大野)