「 ゾフルーザ 」と主なインフル治療薬との違いを詳しく!

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ソフルーザ作用機序

目 次

ゾフルーザと
主なインフルエンザ治療薬の比較

ゾフルーザの詳細
..2.1 1
飲むだけでOK
..2.2 他人への感染拡大を抑えます
..2.3 ゾフルーザの副作用
..2.4 ゾフルーザ米国でも承認
..2.5 ゾフルーザまとめ
..2.6 
ゾフルーザの耐性菌問題について
…….のまとめ

アイキャッチ画像は、看護roo!より引用しています


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2018年~2019年、国内で承認されている主なインフルエンザ治療薬は「タミフル」「リレンザ」「イナビル」「ラピアクタ」「ソフルーザ」となります。

体内への投与方法も「吸入」「経口」「点滴」の3方式に分かれています。

もし、患者さんにインフルエンザ治療薬の選択権があった場合、どちらの薬を選んだら良いか解りませんよね?

  • 吸入(きゅうにゅう)
    薬を気体 or 霧状にして吸いこむこと
  • 経口(けいこう)
    飲む薬(内服薬)
  • 点滴(てんてき)
    静脈注射の一種で、薬液を少しずつ静脈内に注入

抗インフルエンザウイルス薬の「用法」「用量」「作用機序(さようきじょ)」などの違いをまとめましたので参考にして下さいね!

  • 作用機序(さようきじょ)
    インフルエンザウイルスに対して薬が効果を発揮するためのアプローチ方法 

ゾフルーザと主な
インフルエンザ治療薬の比較

項 目 リレンザ タミフル

一 般 名

ザナミビル
オセルタ
ミビル
作用機序 ※ ① ※ ①
投与経路 吸      入 経      口
用       法
用       量
1日2回
5 日間
1日2回
5 日間
1 治療当
たり薬価
3割負担

2942円
883円

2720円
816円
※ ③
2017年
売  上  高


不明
169億円
対前年
25.2%増
※ ⑤
2018年

売上予測


不明
56億円
対前年
66.9%減

製造会社
※ ⑥
GSK

中外製薬
発  売  日 00年12月 01年02月
備       考 ナシ ※ ⑦⑧

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ラピアクタ イナビル ゾフルーザ

ベラミビル
ラニナ
ミビル
バロキ
サビル
※ ① ※ ① ※ ②
点      滴 吸      入 経      口

1      回

1      回

1      回

6216円
1864円

4279.8円
1284円
※ ④
4789円
1437円
 33億円
対前年
16.7%増
 253億円
対前年
29.2%増
24億円
対前年
 11億円
対前年
66.4%減
 190億円
対前年
24.8%減
 130億円
対前年
439.1%増

塩野義製薬

第一三共

塩野義製薬
10年01月 10年10月 18年03月
ナシ ナシ ※ ⑨

作用機序:※ ①
インフルエンザウイルスは、鼻・喉の粘膜から進入し細胞の中で増殖します。

  • リレンザ
    タミフル
    ラピアクタ
    イナビル
    細胞内で増殖したウイルスが細胞から外に拡散するプロセスを阻むことで、周辺細胞への
    感染拡大を防ぎます(ウイルスの増殖を抑制する作用はナシ)。

作用機序:※ ②

  • ゾフルーザ
    鼻・喉の粘膜を通じて細胞内に進入したウイルスの細胞内での増殖を阻害します。

2017年売上高:※ ③

  • 決算期
    中 外 製 薬:17年01月~17年12月
    塩野義製薬:17年04月~18年03月
    第 一 三 共:同上

1 治療当たり薬価:※ ④

  • ゾフルーザ
    体重80kg未満
    以上の場合、×2倍必要となります

2018年売上予測:※ ⑤

  • 各社決算補足資料より抜粋

製造会社:※ ⑥

  • リレンザ
    グラクソ・スミスクライン

備     考:※ ⑦⑧⑨

  • タミフル※ ⑦
    2018年8月「異常行動との因果関係があるとは言えない」と判断され、2007年以降原則中止されていた10歳代への投与を含め、全年齢で使用することが認められた。
  • タミフル:※ ⑧
    2018年9月、沢井製薬からタミフルのジェネリック医薬品が発売されました、1治療当たりの薬価はタミフルの半額となります。
  • ゾフルーザ:※ ⑨
    体重10kg以上であればお子さんも服用可。
    妊婦は原則的には使用不可。

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ゾフルーザの詳細

製薬各社は作シーズン(2017年~2018年)程のインフルエンザ流行を見込んでいないため、対前年比較で25%~67%の範囲で減収を見込んでいますが、イナビル190億円に続いてソフルーザが130億円を強気の予想を公表しています(前年の5.4倍)。

 

・1
1回飲むだけでOK

タミフル・リレンザは1日2回、5日間「経口」「吸入」する必要がありますし、イナビルは1回の「吸入」で効果が出ますが、吸引時に苦みを感じます。

対してゾフルーザは1回錠剤を飲むだけでOK、お手軽ですね!

 

・2
他人への感染拡大を抑えます

塩野義製薬 TOP
> 抗インフルエンザウイルス剤ゾフルーザ
..> 臨床成績

….> 試験デザイン

成人及び青少年における臨床成績 では、

インフルエンザA型 or B型に感染した12歳以上65歳未満の患者1,064名を対象とし、プラセボ(偽薬)231人、ゾフルーザ456人、タミフル377人の3つのグループに分けてそれぞれ投与しました。

インフルエンザの症状が無くなるまでの時間は、ゾフルーザとタミフル伴におおむね53時間とほぼ変わりがありませんでしたが、ウイルスが体内から排出される時間に顕著の違いが見られました。

中央値で測りますと、タミフルのウイルス排出までの72時間に対してゾフルーザは24時間と短いのが特徴でした。

ウイルスに対する作用機序(ゾフルーザ:ウイルスの増殖を阻害する)の違いから、ゾフルーザはタミフルより48時間程早く、体内からインフルエンザウイルスを排出させることができるとの結果となりました。

インフルエンザ発症から最初の3日間が感染力が最も強いとされていますので、家庭、通勤電車内、学校、職場での感染拡大を抑制する大きな効果があります。

 

・3
ゾフルーザの副作用

上記の臨床試験における副作用発現数では、ゾフルーザ27件(4.4%)、タミフル43件(8.4%)、プラセボ12件(3.9%)、ゾフルーザで最も多かった副作用は下痢の症例で11件と公表されています。

 

・4
ゾフルーザ米国でも承認

塩野義製薬が開発した「ゾフルーザ」が2018年10月24日に米食品医薬品局(FDA)から12歳以上の患者への適用承認を獲得した。

米国では作シーズン、インフルエンザが大流行し多くの患者が出たことから、従来薬よりも早く効果が出る新薬に注目が集まっています。

・5
ゾフルーザまとめ

ゾフルーザは1回錠剤を飲むだけですからお手軽ですし、ウイルスの増殖を根本的に阻害するため、従来のインフルエンザ薬よりも治療効果が高いとの臨床結果がでています。

ただ、2018年3月に販売が開始された薬ですから国内で多くの患者さんに投与された実績はありません、実質的に今シーズンから多くの方が使用されます。


副作用が心配な方は従来の治療薬を使用されるか、ゾフルーザを使うか医師と相談された方が安心です、12月からは本格的にインフルエンザの流行が始まります。

普段の手洗い、うがい、外出時のマスク、規則正しい睡眠、なによりもインフルエンザの予防接種を受けることが大切ですね。

・6
ゾフルーザの耐性菌問題について
のまとめ

以下の引用を参考にして下さい。

一般社団法人 日本感染症学会
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬(Cap-Dependent Endonuclease Inhibitor)Baloxavir marboxil(ゾフルーザ®)について

まとめ
 Baloxavir marboxil(Xofluza,ゾフルーザ®)は、ノイラミニダーゼ阻害薬とは異なった作用機序でインフルエンザ増殖を抑えるので、ノイラミニダーゼ阻害薬耐性ウイルスにも有効と考えられる。臨床的な有効性、罹病期間の短縮はOseltamivirと同等だが、1回の内服で治療が出来るので、利便性が高くアドヒアランスは優れている。
 さらに、ウイルス感染を、早期に大幅に低下させるので、治療効果と同時に、周囲への感染防止効果も得られる可能性がある。しかしながら、アミノ酸変異(主にI38T)が高率に発生することが報告されている(小児で23.3%、成人で9.7%)。変異ウイルスは、Baloxavirに対する感受性が50倍程度低下するが、臨床効果への影響、周囲への感染性は、現在のところ不明である。今後の臨床症例を蓄積して、当薬剤の位置づけを決めていく必要がある。

平成30年10月1日
一般社団法人日本感染症学会 インフルエンザ委員会
青木洋介、川名明彦、國島広之、新庄正宜、菅谷憲夫、永井英明、廣津伸夫、藤田次郎、三鴨廣繁、石田 直(委員長)


時事メディカル
インフルエンザに新薬 指摘される問題点も

ゾフルーザもこれまでの治療薬と同様に、ウイルスの増殖を抑える。

小児で最大1錠、成人は体重に応じて2錠から4錠を一回内服することで治療ができるため、臨床的には使い勝手がいいとされる。

臨床効果は、同じ内服剤で5日間、朝夕2回服用が必要なタミフルと同等と報告されている。


また、現在使用されている内服剤のタミフルとそのジェネリック剤、吸入剤のイナビルとリレンザ、点滴のラピアクタの5剤とはウイルス増殖を抑制する作用メカニズムが異なることから、既存の5剤に対する耐性ウイルスが出た場合でも有効と考えられている。

◇「耐性」への懸念
ただ、問題もある。他の薬に比べると、価格が高いこともあるが、それ以上に問題なのが、日本感染症学会のインフルエンザ委員会が「ウイルスのアミノ酸変異を惹起(じゃっき)することが知られており、臨床効果への影響、周囲への感染性については今後の検討が必要である」というコメントを発表している点だ。

感染症学会の委員会で取り上げられた「アミノ酸変異」とはどういうことだろうか。

同委員会委員で、神奈川県警友会けいゆう病院(横浜市)感染制御センター長の菅谷憲夫医師は「 インフルエンザウイルスに耐性変異を引き起こすこと。

ゾフルーザを投与した患者から検出されたインフルエンザウイルスの中から、ゾフルーザの効き目(感受性)を低下させる変異を起こしたものが検出されている。このためインフルエンザ専門家の間では、ゾフルーザの耐性が大きな問題になっている 」と語る。

変異は小児に多く発生
この変異ウイルスの発生頻度は高く、A型インフルエンザ患者(主にA香港型)の、小児で23.4%、成人で9.7%とされている。医薬品医療機器総合機構の資料によると、変異ウイルスが発生した場合、患者のインフルエンザ症状は、成人では約12時間、小児では約37時間長引くことが報告されている。ただ、変異したウイルスが別の人に感染してインフルエンザを発病させるかどうかは確認できていない。

菅谷医師は「A香港型インフルエンザ患者で、ゾフルーザを投与した場合、子供の4人に1人、大人の10人に1人の割合で薬が効きにくい、つまり、解熱など症状消失までの時間がかかったり、喉のインフルエンザウイルスがなかなか消えなかったりする患者が出てくることになる。喉のウイルスが長く残るので、この耐性ウイルスが周囲の人に感染するかどうかが懸念される」と話している。

有効な使用法も
このような分析を基に菅谷医師は、「私見であるが、迅速診断でA型インフルエンザと診断された場合は、ゾフルーザは使うべきでないと考えている。B型の場合は、耐性がほとんど出ていないので、使うことも可能だろう」と言う。

ただ、ゾフルーザは使い方によっては非常に重要な薬になる。

一つは、既存の抗ウイルス薬と作用メカニズムが異なるため、既存のメカニズムの薬全てに耐性を持つインフルエンザウイルス、例えば、重症化しやすい鳥インフルエンザ=用語説明2=のH5N1やH7N9などのウイルスが出現した場合、治療の切り札になる可能性がある。

もう一つは、非常に重症な患者に対して既存の抗ウイルス薬と組み合わせて使うことで大きな治療効果が期待できることだ。

菅谷医師は「ゾフルーザはタミフルやラピアクタと一緒に使用すると、耐性が出ず、効果も高まる可能性が基礎研究で明らかにされている。

小児の脳症や高齢者の肺炎などの重症のインフルエンザ入院患者にはたとえば、ゾフルーザとラピアクタを同時に使用することは有効と考えている」と言う。

用語説明1 インフルエンザ治療薬

現在国内で使われている治療薬は内服3種と吸入2種、点滴1種の6種類。発熱後48時間以内の治療が望ましい。効果を出す仕組みは、ゾフルーザだけが異なる。点滴薬は入院が必要とされるような患者に使われるので、多くの患者には残り5種類が使われるのが一般的だ。

用語説明2 鳥インフルエンザ
主に鳥類の間で感染するインフルエンザ。しかし、密接に接触している人間にも一部変異した鳥インフルエンザウイルスが感染することがあり、この場合、非常に重症化する事例が多く報告されている。
(時事通信社 喜多壮太郎・鈴木豊)

時事通信社の記事が分かり易く参考になりますね!

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読売新聞
「ゾフルーザ」耐性ウイルス
インフル同様の感染力…東京大などのチーム

2019/11/26 09:03
インフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」を服用後、体内にでき、薬が効きにくくなる耐性ウイルスが、例年流行しているA型インフルエンザウイルスと同程度の強い感染力を持つことがわかったと、東京大などのチームが発表した。論文が26日、英科学誌「ネイチャー・マイクロバイオロジー」に掲載される。専門家は服用は慎重にすべきだと指摘する。


東京大の河岡義裕教授らの研究チームは、昨冬に医療機関を受診したA型インフルエンザ患者38人について、耐性ウイルスの有無を調べた。その結果、ゾフルーザ服用前には検出されなかった耐性ウイルスが、服用後に9人で検出された。患者から検出された耐性ウイルスをマウスなどに感染させて調べたところ、A型インフルエンザと同様、他の個体に飛沫ひまつ感染することや、体重が減少することが確認され、同程度の感染力と病原性を持つことがわかった。

ゾフルーザは昨春に発売されたが、国立感染症研究所が今年1月、患者から耐性ウイルスを検出したと発表。日本感染症学会や日本小児科学会は、12歳未満への投与に慎重な判断を求める見解を示している。

インフルエンザに詳しいけいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師は「耐性ウイルスの感染力がA型インフルエンザウイルスと変わらない可能性が出てきた以上、子どもだけでなく高齢者などへの処方も慎重に検討すべきだ」と話している。

厚生労働省は11月15日にインフルエンザの流行入りを発表。過去20年間で、新型インフルエンザが流行した2009年に次いで早い。

読売新聞社の記事を拝見する限り、当面は「リレンザ」「タミフル」「イナビル」を使用した方が良いと思われます。

以 上
「ゾフルーザ」と主なインフル治療薬との違いを詳しく!でした。

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