ドナー候補者になられた方の骨髄(造血幹細胞)移植までの流れ!

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目 次

1 造血幹細胞の採取方法

2 ドナー候補者に選ばれた
~最終同意まで!
..2.1 骨髄バンクからのお知らせ
..2.2 確認検査(通院)
..2.3 最終同意(通院)

3 採血前健診(通院)

4 骨髄採取の場合!
..4.1 自己血採取(通院×2日)
..4.2 入院・採取・退院(3泊4日)
..4.3 ドナーのリスク・副作用

5 末梢血幹細胞採取の場合!
..5.1 採取の準備
..5.2 末梢血幹細胞の採取
..5.3 退院
..5.4 ドナーのリスク・副作用

6まとめ

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骨髄(造血幹細胞)植とは、一般的な化学療法や免疫抑制療法では治療することが難しい血液の病気、「血液のがん」(白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫)や「免疫不全症」などを完治させることを目的として、HLA型と呼ばれる血液の型が一致したドナーの健康な「造血幹細胞」を患者さんに移植するものです。

HLA型は兄弟間では四分の一の確率で一致しますが、非血縁者間では数百から数万分の一の確率でしか一致しない様です。

また、御家族と伴にドナー候補者が「造血幹細胞」の提供に「最終同意」をしますと、患者さんは前処置(造血幹細胞の移植準備)として致死量を超える「抗癌剤の投与」と「放射線照射」により患者自身の造血機能は失われてしまいます(造血細胞が死滅した状態)。

この時に「造血幹細胞」の提供が受けられなくなりますと、患者
さんの生命に直接関わる事態になりますから、弁護士立ち合いの元で同意書に署名・捺印後にドナーを辞退することはできませんから、御自身の状況や職場の環境(有給取得)などを考慮したうえでの慎重な同意が必要です。


造血幹細胞とは?
骨の内側にある骨髄の中で自身と同じ「造血幹細胞」を自己複製すると伴に、血液中の「赤血球」「白血球」「血小板」「血漿(けっしょう)」を産生する血液細胞のこと。

HLAとは?
血液型にはA型、B型、AB型、O型があり、輸血の時には型を合わせるのが大原則ですが、同様に白血球をはじめとする細胞にはヒト白血球抗原(HLA:Human Leucocyte Antigen)と呼ばれる型があり造血幹細胞の提供に際しては、患者さんとドナーさんのHLA型の適合性が重要となります(HLA型が合わないと、異物と認識して攻撃をされる)

造血幹細胞の採取方法

以下3通りとなります。

骨髄採取
全身麻酔のうえ腰の骨(腸骨)に針を刺して骨髄(造血幹細胞)を採取する方法。

末梢血幹細胞採取(まっしょうけっかんさいぼう)
G-CSFと呼ばれる白血球を増やす薬を数日間投与(注射)することで、造血幹細胞が骨髄内部からドナーの血中に溢れ出す状態をつくり、成分分離装置を使って血液中の「造血幹細胞」を採取する方法。

臍帯血(さいたいけつ)採取
出産時に、赤ちゃんと臍帯が切り離された後、臍帯と胎盤(たいばん)に残っている臍帯血の中から「造血幹細胞」を採取する方法。

ドナー候補者に選ばれた
~最終同意まで!

・1
骨髄バンクからのお知らせ

患者さんと骨髄バンクでドナー登録をされた方のHLA型のマッチングが行われ(最大5名の候補者が選出)適合すると「日本骨髄バンク」からドナー候補者に選ばれたことのお知らせが郵送されます(骨髄バンクのコーディネーターからの電話連絡による場合もあり)。

意思確認がなされ「造血幹細胞」提供の意志ありとアンケートを返送すると、日本骨髄バンクのコーディネーターから連絡が入り、病院での検査と説明のための日程を調整します。

・2
確認検査(通院)

  • コーディネーターから造血幹細胞移植ドナーに関する詳しい説明を受ける。
  • 仕事状況の都合
    (仕事を休むことができるか)。
  • 提供意思などの確認。
  • 問診。
  • 患者さんとドナー候補者のHLAが遺伝子レベルで一致しているかを調べるため、DNAタイピングと呼ばれる適合検査を行うための採血。

・3
最終同意(通院)

  • 複数のドナー候補者(最大5名)から、最も適した方がドナーとして選ばれます。
  • ドナーに選ばれるとコーディネーター(弁護士の立ち会いの下に)から、リスクについての説明を受けた後に最終意思確認が行われます。
  • 最終同意には、ドナー本人だけでなく、家族の同意も必要となります(同意書にサイン)。
  • 最終同意後は、患者さんも造血幹細胞の移植準備を進めるため、同意の撤回はできません。

採血前健診(通院)

  • 採取の約一か月前に健康診断を実施。
    血液検査、尿検査、レントゲン(胸部と腹部)、心電図検査、肺機能検査、腹部超音波検査
  • 診断結果によっては再検査が必要になったり、採取が中止になることもあります。
  • 採取前4週間前は感染症予防のため海外渡航はできません。
  • 「骨髄採取」「抹消血幹細胞採取」のどちらを選択するかは、原則としてドナーの希望によって決定されますが、患者さんの状況によって決まる事もあります。

なお、患者さんの移植前治療は採血の7日~10日前から始まっています。

この時点で造血幹細胞の提供が受けられなくなると患者さんの生命に関わる事態になりますから、御自身の「不慮な事故に対する注意」「健康管理」に十分注意する必要があります

上記までのフローは「骨髄採取」「抹消血幹細胞採取」ともに同じです。

以下、採取方法別に造血幹細胞提供までのフローを記載します。

骨髄採取の場合!

・1
自己血採取(通院×2日)

  • 骨髄採取量は、患者さんの体重やドナーの体重、血液検査の結果により決まります。

    患者さんが成人の場合、600~1000ml程度の骨髄液が必要となりますが、ドナーに負担をかけない様に、最大ドナーの体重1kgあたり12~20mlの範囲となります。
  • 造血幹細胞・採血後の貧血防止のため、事前に御自身の血液を採血して保存(自己貯血)しておいて手術時に戻します。

    例えば、患者さんへの輸注量が1,000ccであれば、600cc~800ccを2回に分けて採血し貯血するため、病院には2回通う事になります。

・2
入院・採取・退院(3泊4日)

採取前日

  • 一般的には、採血日の前日に入院して退院まで3泊4日が基本となります。
  • 入院後は、問診、診察、採血および麻酔科医の診断、麻酔の方法などの説明を受けます。
  • 女性のドナーで採取日が生理に重なる場合、担当医師に伝えます。

採取当日

  • 全身麻酔をかけますと自発呼吸が止まるため、人工呼吸器の管を口から入れ、採取は手術室で行われます。
  • 採取手術の所要時間は、麻酔開始から2~3時間程度になります。
  • うつ伏せになりベルトの位置より少し下にある骨盤の後側の骨(腸骨)に複数の採取針を刺して注射器で吸引します。
  • 採取された骨髄液は、通常は採取日に患者さんに移植されます。
  • 骨髄採取後も数時間以上の安静が必要になります。
    点滴、酸素投与、施設によっては尿道カテーテルの挿入など。
  • 手術の当日は絶食となります(点滴での栄養補給)。
  • 麻酔が切れると腰が痛くなる症状が出る方もいらっしゃいますが、痛み止めを処方して頂けます。

退院(採取翌日)

  • 健診を行い、体調に問題が無ければ、採取した翌日または翌々日の退院となります。
  • 通常は、退院後7日以内に違和感が無くなり、通常の生活に戻ることが出来ます。

退院後の健康診断(通院)

  • 退院後の1ヶ月以内に健康診断。

・3
ドナーのリスク・副作用

  • 骨髄採取は全身麻酔となりますので、麻酔に伴う事故や副作用のリスクがあります。
  • 死亡する危険性は15,000~20,000回に1回程度と考えられています。
  • 発熱
  • 倦怠感
  • 採取針を刺した事による腰の痛み
  • 尿道カテーテルの痛み

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末梢血幹細胞採取の場合!

・1
採取の準備

  • 全身を流れている血液に造血幹細胞が溢れだす様にG-CSFを注射します。
  • G-CSFは白血球を増加させ、血中の造血幹細胞を増やす効果があります。

    1日1回ないしは2回、毎日(4~6日間)皮下注射で投与されます。

    その間、毎日血液検査が行われ、白血球数が増えすぎると薬の量を減らしたり、肝機能、脾臓の大きさも検査して、副作用が生じていないか確認します。
  • 入院で行う場合は、採血まで含めて4泊5日~6泊7日の入院。
  • 通院で行う場合は採血まで含め、2日~4日間通院の上1泊2日~2泊3日の入院。
  • 入院で採取する事が原則ですが、毎日通院して処置、診察が可能な場合は、ドナーと相談して外来で行う施設もあります。

・2
末梢血幹細胞の採取

  • 皮下注射によるG-CSF投与(1日1回~2回)から4~6日目が、血中に造血幹細胞が最も溢れ出す時期となりますので、成分献血で使用されている様な専用の機器を使って血液中の造血幹細胞を採取します。
  • 採血するには針を両腕に刺しますが、腕の血管が太くないケースでは足の付け根(そけい部)の血管から採取が行われることもあります。
  • 1日に1回、ドナーの体重1kgあたり150~200ml(体重50kgのドナーで7.5~10.0ℓ)の血液が処理されます。
  • 造血幹細胞採取に1回あたり3~4時間の時間となり、十分な量を確保するには最大3日間かかることもあります。
  • 採取中のドナーの体調は、問診、血圧測定、採血で毎日チェックされています。
  • 採取中の何らかの問題が生じた場合、ドナーの同意が得られれば骨髄摂取への変更も検討されます。
  • 採取された末梢血幹細胞は一端凍結保存され、患者さんへの移植日に解凍されます。

・3
退院

  • 通常は、採取後の体調に問題が無ければそのまま退院します。
  • G-CSF投与後の一週間ほどは白血球数も高い状態が続き、エコノミー症候群の様な血栓症を起しやすい状態となりますので、水分を十分に補給して適度に体を動かすことが大切です。
  • 退院後の1ヶ月以内に健康診断。

・4
ドナーのリスク・副作用

G-CSF投与に伴う

  • 腰痛、背中の痛み、手足の痛み
  • 発熱、頭痛、倦怠感、不眠
  • 白血球数の増加
  • 脾臓に負担がかかる

体外循環(再度血液を体内に戻す時)

  • 低カルシウム血症
  • 血小板の減少
  • 血圧低下
  • 不快感


まとめ

入院など一切の費用は患者さんの負担となり、交通費、テレビカードなどの費用として5000円頂けますが、休業補償は有りません。

骨髄移植の場合の所要日数

  • 確認検査(通院)
  • 最終同意(通院)
  • 採血前健診(通院)
  • 自己血採取(通院×2回)
  • 骨髄採取のため入院(3泊4日)
  • 退院後の健診(通院)
  • 通院6回 + 3泊4日の入院となります


末梢血幹細胞採取の場合の所要日数

  • 確認検査(通院)
  • 最終同意(通院)
  • G-CSF投与を通院で行う場合
    通院:2~4日
    入院:1泊2日~3泊4日
  • G-CSF投与を入院で行う場合
    入院:4泊5日~6泊7日
  • 退院後の健診(通院)
  • 入院されてG-CSF投与を行った場合の日数では、通院3回 + 4泊5日~6泊7日となります


ドナー登録ができる方は18~54歳で健康な方です。

1回通院すると半日は掛かりますし、学生・会社員の方は「造血幹細胞」提供の意思があったとしても、「休みが取れない」「休業補償」の問題などで辞退される方も多い様です。

日本骨髄バンクのリリースによりますと、2015年に適合通知を送付したドナー候補者27,867人の内、最初のコンタクトでコーディネートが終了された方は13,681人でほぼ半数。

13,681人の内「仕事が忙しくて休めない」「育児中のため」の方が43%おられます、ざっくり申しますと49.0%×43.0%=21.1%の方が「都合付かず」で辞退されているのが実情です。

「ドナー助成制度」を導入している自治体もありますが少数派です。

「裁判員制度」の様にとまでは申しませんが、国や自治体がドナーを支える仕組みを制度化する必要性がありますね。


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町田市骨髄移植ドナー支援事業

助成対象
町田市骨髄移植ドナー支援事業を開始した2016年4月1日以降において、骨髄・末梢血幹細胞の提供が完了した日に町田市に住民登録があり、公益財団法人日本骨髄バンクが実施する骨髄バンク事業で骨髄等の提供を完了し、証明する書類の交付を受けた方

※公益財団法人日本骨髄バンクが実施している事業以外での提供については助成対象外です。

助成を受ける提供者(ドナー)が勤務する事業所(ただし、個人事業主、国及び地方公共団体、独立行政法人を除く)

助成金の額
ドナーが通院(検査)・入院に要した日数に応じて助成金を交付します。

提供者(ドナー):1日につき2万円(7日を上限とする)
提供者(ドナー)が勤務する事業所:1日につき1万円(7日を上限とする)



以 上
「ドナー候補者になられた方の骨髄(造血幹細胞)移植までの流れ!」でした。

 


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